オホーツク支部主催による地域経済セミナーが28日に開かれ、「地域の自立的発展と産消協働」と題して、釧路公立大学の小磯修二学長が講演しました。同友会会員をはじめ、地方自治体や商工団体など合わせて100名が学びました。同氏は北海道開発庁(現国土交通省)を経て、2008年4月より学長。実践的な地域経済政策研究に取り組み、産消協働推進・普及道民会議座長としても活躍中です。
小磯氏は日本の経済構造に触れ、「北海道と東京圏では、仮に国が双方に同額の投資をしても波及効果は全く違い、地方の投資の多くが大都市圏に集中しているのが現状だ。北海道も東京も最大の産業はサービス業だが、東京では2番目に本社産業が多くなっている。これは都市と地方の決定的な違いであり、市場の中心では放っておいても地方からお金を吸い上げる産業構造を持っているということができる」とし、条件が違う都市と地方で画一的な政策を進めることは難しいと述べました。
さらに同氏は経済が成長する要因について、「地域経済が発展していくためには外部からお金が入ることも重要だが、入ってきたお金をいかにして地域内で循環させていくか、外需と内需のバランスをとりながら経済発展を目指すことが重要だ。そのためにはより多くの雇用を生み出す産業の創出、外貨を稼ぐ産業と域内で循環を生み出す産業、そして持続可能な発展が期待できる産業を創りあげることが必要だ」と強調しました。加えて氏は「これまで国は地域間の資金の出入りには全く無関心だった。しかし地域間の競争で成長力は高まっていく。産消協働の意義は自給自足経済を目指すものではない。食の分野ではすっかり定着した地産地消を全産業レベルで考え、足元の地域をしっかりと見つめ直し、経済循環を意識することで、地域の産業間の連携が強まり地域経済全体を元気にしていくというものだ」と述べ、産消協働の意義を強調しました。
最後に小磯氏は、北見市でも制定運動が進んでいる中小企業振興基本条例について「条例は作っただけでは全く意味をなさない。つくり上げた条例をどのように活用するのかを論議することが重要だ。北見市においては北見産業振興ビジョンの経験を踏まえ、しっかりと検証することも必要ではないか」と語りました。